ホワイトノイズとADHD
- 文瑞穂(Mizuho Bun)
- 2016年5月13日
- 読了時間: 3分

ホワイトノイズって何? 良ければ、以下のサイトに飛び、「Pure noise」と表示された音源を聴いてみてください。
…聞いてみて、どう感じられましたか?
これらは「ホワイトノイズ (white noise) 」といって、20~20,000Hzから成る一連のランダムな信号音と定義されています。この音、ADHD(注意欠如・多動症)を持つ子ども達においては、集中力を高める効果が有るそうです!Baijotら(2016)は7~12歳の健常児17名、ADHD児13名を対象に、この事実を実験で証明しています。
ホワイトノイズ有無の中 ×でボタンを押し、+で押さない

図1. 実験手続き
実験手続き (Go/Nogo課題) は図1をご参照ください。
先ず準備として ■ が一瞬呈示され、1~2秒後にGo刺激として × 、Nogo刺激として + が呈示されます。Go刺激ではボタンを押す事、Nogo刺激ではボタンを押さない事を求められました。
Go刺激とNogo刺激は半分の確率で呈示され、呈示の順番も疑似乱数 (計算機で作り出される、予測不能とは言えない乱数) を用いていました。
Go刺激またはNogo刺激の呈示後は2.5秒の間隔の後、刺激呈示が繰り返されました。
この課題の実験時間は4分20秒で、刺激数は60 (Go刺激30・Nogo刺激30) でした。
この手続きに加え、ホワイトノイズ有り条件・無し条件において各々2回行われた (課題実施の順番は対象者によって変更した(カウンターバランスを取った)) ので、対象児1人あたり4回課題が行われた事になります。
結果、No noiseで有意差有り

図2. 集団 (健常児 対 ADHD児) と条件 (ホワイトノイズの有無) における誤答率
このグラフは、Go/Nogo課題でどれだけ間違えたかを表すグラフです。健常児 (TDC) はホワイトノイズ有り条件で誤答率が増えていますが、ADHD児はホワイトノイズ有り条件において誤答率が減っています。更に、ホワイトノイズ無し条件にのみ健常児とADHD児に有意な差がありました。つまり、ホワイトノイズが有る条件では、ADHD児は健常児と同じくらいの成果が出せたという事です。
因みに、先行研究より、ADHDまではいかなくても、注意力散漫傾向の人にも、このホワイトノイズは効果が有るみたいです。この「傾向」がどの程度かは判断し辛い上に本実験対象者は7~12歳の子どもですが、気持ちが浮つくなあって時にはホワイトノイズを聴きながら作業してみてはいかがでしょうか。
また、勉強や作業をする際に「音楽」を聴きながら取り組む方は多いと思いますが、「ホワイトノイズ」を聴きながら……は珍しいかもしれませんね。でも、ADHDを持つ人にとってはこの不思議な音が注意散漫を抑える効果を持つみたいです。健常者からすれば、そもそも注意散漫になることが余り無いので理解し難い事かもしれませんが、この事実を知ることによって、障害を持つ方の理解に繋がるかもしれません。
引用文献 Baijot, S., Slama, H., Soderlund, G., Dan, B., Deltenre, P., Colin, C., & Deconinck, N. (2016). Neuropsychological and neuro physiological benefits from white noise in children with and without ADHD. Behavioral and Brain Functions, DOI: 10.1186/s12993-016-0095-y
(文瑞穂;米山直樹ゼミM1)
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